加藤産業株式会社 さま
ASNの活用・納品書の電子化で検品レスを実現

ロジスティクス企画部 部長 堂内 寛章さま
企業間の協調とデジタル化によって検品の省力化を目指す取り組みが広がっています。
今回はいち早く取り組みをスタートさせた加藤産業さまにお話を伺いました。
※この記事は2025年3月13日に開催された『JPRセミナー2025』におけるインタビューをもとに再構成したものです
※2025年3月当時の情報をそのまま掲載しています
※掲載されている会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です
JPR今回の取り組みの概要について教えてください。
加藤産業さま納品書を電子化しASN(事前出荷情報)を活用することによって、ペーパーレスと検品作業の効率化を図りました。
商品を荷受けする際に行う検品作業は、商品名や数量、賞味期限をチェックする行為です。今回行ったのは、こうした情報をメーカーさまから、事前にデジタル化して受け取ることによって検品レスを実現するという取り組みです。
取り組みの効果として、従来検品業務に1パレットあたり約6分を要していたものが約6割短縮されました。
検品作業が効率化していくことによって、トラックの待機時間の削減にもつながっていきます。
JPRどのようなプロセスで検品省力化を進めたのでしょうか?
加藤産業さまASNの活用と並行して、従来紙だった納品伝票を電子化、ペーパーレス化しようという取り組みを進めました。
現場では検品の作業時に伝票がコミュニケーションツールとして活用されています。この伝票をなくすためにはどうしたらよいか?
検品作業自体をなくせば、紙の伝票がなくても成り立つということで、ASNを活用した検品レスと伝票レスを同時に実現することが必要だという考えに至りました。
その考えにご賛同いただいたのがヤマサ醤油さま、そして実現するためのツールをご提供いただけたのがJPRさんでした。
この3社で、共同の取り組みを実施しました。実施にあたっては、さまざまな取り組みを複合的に、一体的に実施しています。
例えば、検品作業を効率化する目的で、1回の発注の数量を集約する取り組みを行っています。
ですので、検品作業がなくなることで全体の作業時間の短縮につながることと、発注が集約されることで車両台数の削減につながること。これらの効果が取り組みの成果になっています。
JPRその取り組みの中で、JPRの納品伝票電子化・共有化システムDD Plus(ディーディープラス)をご活用いただいています。
加藤産業さま今回の取り組みにあたっては、JPRさんのDD Plus(ディーディープラス)を採用しました。
まず、現在紙ベースで実施している伝票をデジタル化するにあたっては、さまざまなハードルがありました。例えばデータをどこに保存しておくのかという問題です。
納品伝票は複数の企業との間でやり取りをしていますから、それぞれの会社でデータを保存する仕組みを用意することは難しい。その点の課題をDD Plusが解決しています。
今後、伝票を含めて様々な情報をデジタル化する動きが加速していくことが予想されていますが、システムを自社で開発できる企業もあれば、困難なメーカーさまや、卸さまなどもあるだろうと思います。
そのような中で、DD Plusのようなシステムを共通のプラットフォームとして活用できる仕組みが整っていくと、検品レスやペーパーレスが一気に普及していくのではないかと思います。
JPR今後の課題は?
加藤産業さま検品レスを進めるなかでさまざまな課題も見えてきています。
メーカーさまから当社側に直接商品が送られてくる場合は、当然出荷先でデータが作成できますし、そのままの状態で当社側に商品が納品されるということで検品レスが成り立っています。
ただ、実際には、路線便を使用して入庫するメーカーさまも多数あります。
路線便の場合は、トータル数量を集荷した後に、さまざまなルートの中で仕分けされ、納品されますので、実際に引き取られた商品のうち、どの商品がどのセンターに到着するかをメーカーさまが把握することができません。
ですからメーカーさま側で、データを作成することが非常に難しい。そうしますと、途中の路線便業者さまの最終営業所で、ASNデータを作成することが必要になる、ということが分かってきています。
路線便で納品された商品に対する検品レスの仕組みをどう構築するのか。また、複数のメーカーさまの商品を取り扱って当社に供給しているような共同配送等もありますので、それらの複数のメーカーさまのデータを作成して送ることが可能なのか。
多様な形の納品に応じた検品レスの仕組みをどう構築していくか。これが今後の課題であると認識しています。
JPRJPRへ期待することは?
加藤産業さまDD Plusは、多様な企業が利用できる、入荷の効率化における仕組みの一つです。
実際に、システムでやりとりしているデータのフォーマットに関しても、統一化されたフォーマットを使用するという形が出来上がっています。
今後JPRさんに期待することは、業界全体が検品レスという仕組みに向かっていくための、旗振り役になってもらいたいですね。
JPR貴重なお話をありがとうございました。