株式会社サンリオさま
「みんななかよく」の精神を物流で体現。
サンリオが推進する国際パレット輸送による「働きやすさ」とサプライチェーンの強化
営業本部 ディストリビューションセンター シニアマネージャー 渡辺健一 さま
ハローキティをはじめ、世界中で愛される個性豊かで多様なキャラクターを世の中に送り出しているサンリオさま。物量の急増やコンテナ輸送の積載効率の悪さという課題に直面していました。加えて、従来のバラ積みによるデバンニング作業は現場作業員への大きな身体的負担となっており、人手不足が懸念されていました。
同社は「みんななかよく」という企業理念のもと、JPRのパレットレンタルスキームを活用し、海外拠点からのパレット一貫輸送を開始しました。
この取り組みの結果、荷下ろし時間が大幅に短縮され、労働負担が軽減されるという効果が得られています。これは、国の推進する「働き方改革」にも合致する持続可能な物流体制への転換事例です。本事例では、その詳細な経緯と展望についてお話を伺います。
※2025年10月取材当時の情報をそのまま掲載しています
※掲載されている会社名、商品名等は、各社の登録商標または商標です
営業本部 ディストリビューションセンター シニアマネージャー 渡辺健一さま
JPRまずは御社について教えてください。
渡辺さま当社はライセンス事業と物販事業を中心に、テーマパーク事業、近年はゲーム、アニメーション、映画といったIP(知的財産)を活用した事業を積極的に進めています。コロナ禍以降、物販事業においても販売が拡大するとともに、物流量が増加しています。
創業時から企業理念である「みんななかよく」の精神を大切にしており、「One World, Connecting Smiles.」というビジョンを胸に、一人一人の笑顔を作り出し、幸せの輪を広げていくことを目指しています。そのため、従業員が働きやすい環境づくりにも積極的な企業文化を持っています。物流センターでは、空調や休憩所、食堂環境といった設備面の改善などに取り組んでいます。
JPR御社のセンターを拝見した際に、作業員の方々を第一に考えた設計に驚きました。昨今国が推進している「働き方改革」の職場環境の改善にそのまま合致しており、社会的な注目度も高い取り組みだと感じています。
渡辺さまありがとうございます。その結果、アルバイトの離職率が非常に低いという特徴があります。
従業員を大切にする姿勢は、私たちにとって非常に重要です。トラックドライバーの方が使う休憩所やトイレの整備といった環境整備も意識しています。
導入のきっかけと課題
JPR次に、JPRのパレット輸送サービスを導入するきっかけとなった背景や、当時の物流現場の課題についてお聞かせください。
渡辺さま増加する物流量への対応と効率化。この2軸で物流体制を再構築する中で、レンタルパレットによる輸送の導入を行いました。
きっかけの一つとなったのが、海外から入ってくる一部コンテナの積載効率の悪さに着目したことです。現場を巡回した際、ひどい時にはコンテナの2~3割ほどしか荷物が入っていない場合が見受けられました。そこで、コンテナの積載効率を2年間モニタリングしたうえで、メーカーに近いエリアに倉庫拠点を持ち、そこで荷合わせを行うことでの改善提案を行いました。
国内でもセンターの移転を行い、効率を向上した上、さらなる物量の増加に対応して増床を行って現在に至っています。
コロナ禍が明けて以降、国内での業績が伸び、物量が1年で約2倍といったスピードで急増しました。これにより、生じてきた課題がコンテナからのデバンニングの負荷や時間です。1日に受け入れられるコンテナ本数の限界を超えてしまい、協力会社さんがバラ積みの荷下ろしに必要なアルバイトや派遣社員の手配に苦労するようになりました。
JPRバラ積みの荷下ろしは、作業員の方にとって大きな負担ですよね。人手不足と作業負荷の増大という二重の課題があったのですね。
渡辺さまその通りです。「みんななかよく」の精神のもと協力会社さんへの負担を軽減し、働きやすい環境を提供したいと考えました。この物流効率の向上と荷下ろし作業の負担軽減を目的として、パレットを活用した輸送を行うという提案をしました。
具体的にはバラ積みからパレット積みに変更することで、荷役時間を短縮し、コンテナの受け入れ本数を増やせるのではないかと考えました。以前から構想はあったのですが、御社に相談したところ、「大得意です」と力強いご提案をいただき、ぜひ実現したいと思いました。
最初の提案は2023年の初夏でしたが、現物流センターへの移転(2024年2月)と重なり一旦構想が棚上げになりました。移転後に体制が落ち着き、2024年に入ってから、まずは香港の倉庫からの国際輸送でパレット運用を始めることになりました。
物流フローの変化
JPR導入前は主にバラ積みだったかと思いますが、パレット輸送の導入後、物流フローはどのように変わりましたか?
渡辺さま香港の倉庫に在庫をストックし、仕入計画部門側と連携して出荷タイミングと量をコントロールできるようになり、コンテナの積載率が改善されました。レンタルパレットは香港側でJPRさんから供給を受けて、パレット積みの荷姿で日本に向けた海上輸送を行っています。
導入後の効果
JPRパレット輸送に切り替えたことで、具体的にどのような効果が現れていますか?
渡辺さま荷下ろし時間が大幅に短縮されました。以前はバラ積みだと2人で1.5時間から3時間かかっていた作業が、パレット化により、20ftコンテナであれば30分、40ftコンテナでも40分から50分程度で完了します。フォークリフトでの荷役が可能になったためです。
以前は1日5本程度が限界でしたが、パレット納品を入れるようになってから、1日に6本から7本受け入れられるようになり、同時受けも可能になりました。コンテナ手配部門の業務効率化にも繋がっています。
JPR協力会社さんとの関係構築にも貢献されていると伺いました。
渡辺さまその点も重要視しています。パレット化によって、協力会社さんは荷役負担が軽減され、当社は荷下ろし費用(デバン料)の抑制という効果が得られました。相互にメリットのあるパレット輸送の導入は信頼関係強化に貢献していると感じています。
JPRまさに、国が推し進める「働き方改革」や「物流2024年問題」に対応するための、サステナブルなお取り組みですよね。コストや効率とともに、物流に携わる人を大切にする御社の企業理念に共感しています。
今後の展望とJPRへの期待
JPR最後に、今後の展望についてお聞かせください。
渡辺さま増加する物流への対応や災害などに対する事業継続性を強化する観点から、BCP(事業継続計画)を踏まえた具体的な対応策の検討を開始しました。
国際物流の面では、今後、新たな海外拠点も展開する計画です。目標としては、海外からのパレット運用を拡大し、国際物流全体の約5割をパレット輸送で賄うことを目指したいと考えています。
JPR新たな海外拠点の展開に向けて、JPRに期待されることはございますか。
渡辺さまはい。新たな海外拠点へのスムーズな導入とさらなる効率化を実現するためには、JPRさんの広範なネットワーク、フレキシブルな対応力、そして問題解決へ向けた積極的な姿勢に期待しています。引き続き、協力をお願いしたいですね。
JPRありがとうございます。私たちは、単にパレットを提供するだけでなく、貴社の「みんななかよく」という企業理念を体現し、持続的な成長を支える物流基盤の構築に貢献できるよう、引き続き努力いたします。