ユニリーバ・ジャパン・サービス株式会社 さま

沖縄県でも共同回収開始へ―2024年問題に対応するパレット輸送の促進

ユニリーバ・ジャパン・サービス株式会社
サプライチェーンカスタマーサービス ロジスティクスマネージャー
安東 亨 さま

今回は、取引制度を含めた仕組みづくりにより、顧客企業とともにパレット輸送を促進する、ユニリーバ・ジャパン・サービスさまにお話を伺いました。

※この記事は2025年3月13日に開催された『JPRセミナー2025』におけるインタビューをもとに再構成したものです
※2025年3月当時の情報をそのまま掲載しています
※掲載されている会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です

JPR2024年問題への取り組みについて教えてください。

ユニリーバさま2024年問題の解決に向けて、国を含めた動きがあり、新物流効率化法などの取りまとめが進んでいます。その中でポイントになるのがドライバーの拘束時間の削減と車両の積載効率の向上ですね。当社では以前から荷役作業の効率化につながるパレットの活用を推進してきました。パレットを活用することによって、着荷主側での荷下ろしだけでなく、出荷現場での積み込みの効率化にも寄与します。具体的には、当社では2021年から取引制度を改定し、物流条件に応じたメニュープライシングの考え方を取り入れ、パレット発注、面発注といったより効率的な発注体系をお客さまにお願いしています。その結果、バラ発注の比率はかつての約21%から約15%へと減少し、お客さまと当社双方での、荷役の効率化につながっています。また、ASN(事前出荷情報)の活用を、一部のお客さまとともに取り組んでいます。検品レスの実現によってさらなる効率化を目指しています。

安東 亨さま

JPRパレット化については完了していますか?

ユニリーバさま完全なパレット化には、まだ至っていません。例えば、北海道の在庫移動に関しては、従来バラ積みでの運用を実施していましたが、拘束時間の削減を図るために2024年の夏からパレットへの切り替えを進めています。
沖縄県への出荷でもパレット化の取り組みを進めています。沖縄県の配送をパレット化するにあたっては、積載率低下の問題や、レンタルパレットの管理の手間が増えるといった課題がありました。
しかし、昨今の物流環境の変化に対して、トラックドライバーや物流現場の皆さんの負荷を下げようという関係者の意識が高まっていますし、着荷主さまにもレンタルパレットを使用することによるメリットをご理解いただけて、JPRさんの共同回収システムでの出荷を進めていけるようになりました。

JPR2024年問題、対策のポイントは?

ユニリーバさま先ほどお話しした通り、大きく二つのポイントがあると考えています。まず一つ目は、トラックドライバーの拘束時間をいかに削減できるか。それによって、いかに効率的な運用ができるかということですね。
そしてもう一つは、1回の配送でどれだけ荷物を運べるか、つまり積載率をどれだけ高められるかということです。
この二つのポイントは、表裏一体のような関係でもあります。例えば、バラ積みからパレット積みに変えることによって、ドライバーの拘束時間は減らせるが、積載率は下がってしまう。確かに、一部分ではそういった相反する状況が起きるかもしれませんが、パレット発注や面発注を増やすといった施策と一体的に取り組むことによって、積載率低下を抑制したり、向上したりすることが可能です。全体最適を考えた上で、トレードオフの関係にある数値のバランスをどうとっていくかが重要だと考えています。
こうした施策は、物流部門だけで完結できるものではありません。経営層の理解を得ることや営業部門などとの横の連携も大切にしながら、お客さまともより細やかな取り組みを進め、会社全体の命題として取り組んでいきたいと思っています。

JPR物流の改善を進める際に大切なことは何でしょうか?

ユニリーバさま大切にしていることは、現地に足を運んで実際のオペレーションを見ること。そこから課題や問題を抽出して、改善することです。「百聞は一見にしかず」で、オフィスにいて情報を吸い上げるだけでは、実際に何が起きているかイメージできないことがあります。現場に足を運んで見つけた小さな問題点や気付きが、新しい取り組みやアイデアの種にもなると思いますし、新しい案件に取り組む際にも、より効率的に進められるようになると感じていますね。

JPR貴重なお話をありがとうございました。