株式会社シジシージャパン さま
「スカスカ撲滅活動」とは?CGCさまが推進するパレット輸送
顧問 永田 孝司さま
CGCグループの全国本部である株式会社シジシージャパンさまは、「スカスカ撲滅活動」を通じて物流の効率化に取り組まれています。今回はこの活動についてお話を伺いました。
※2024年4月当時の情報をそのまま掲載しています
※掲載されている会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です
「スカスカ撲滅活動」とはどのような取り組みですか?
CGCグループでは、3つのスカスカをなくすための取り組みをしています。
1つ目は売場のスカスカ。従来、横に幅が広い商品のデザインにあわせて棚に陳列を行っていたのですが、スペースに無駄がありました。これを縦陳列の商品に統一することによって売場の棚に空間を抽出させて、同じスペースに陳列する商品数を多くしよう、こういう運動をしています。
2つ目は商品です。商品パッケージをダウンサイジングしようと。今までと同じ入り数で2〜3割のダウンサイジングが可能な商品がたくさんあります。CGCのプライベートブランド(PB)商品はどんどん縮めていこうという活動に入っています。
3つ目が物流のスカスカです。物流のスカスカに取り組むにあたって4つの切り口がありまして、その中心になるのはパレットです。
パレットをベースにした物流にするために、パレットのサイズ、高さをまず規定しました。縦横1,100mm×1,100mm、高さ1150mm。これを計算すると1.39㎥なのですけれども、この1.39㎥にあわせてメーカーさまと商品開発をしていく。これが段ボールモジュールです。CGCのPBに関しては、この1.39㎥の95%以上(容積率)にあうように段ボールのサイズを決めていただくように当社の商品開発基準に盛り込んでいます。現時点では30%の商品数が容積率95%以上になっています。
2つ目はこのパレットにきちっと収まる設計をしていただいた商品に関しては、CGCとして責任をもってパレット単位で発注するという形にしています。
3つ目。このパレット単位で発注を行い、かつ、できるだけ10トン車にきっちりパレット32枚載るように(※)発注しようという運動をしています。これが最適輸送ロットの考え方です。
※10トン車の場合、8パレット×2列×2段=32枚積載できる。
4つ目。これが一番のポイントになるわけですけれども、一貫パレチゼーションです。以前はメーカーさまから届く商品の約4割がパレットで、残り約6割が手積み手降しでした。今は約7割がパレットになっています。CGCはJPRとの付き合いが⻑く、CGCの加盟社さまのセンターや、CGCの地区のセンターは、JPRの共同回収拠点に登録されています。ですから、メーカーさまからこれらのセンターにJPRのパレット32枚で輸送しやすいのです。
積載率の問題に対するCGCさまの受け止めは?
メーカーさまに集まっていただいて、パレット物流を推進しようという会議をやったのですけれども、メーカーさまからは、やはり「積載率が悪くなる」というお話がいくつも出ていました。
そこで、我々は、先ほどお話ししたようにPB商品に関してモジュールから入って、発注単位もパレット単位、32パレットでしますよ、と。そうすれば「積載は必ずしも悪くならないのではないですか」と、お話をしています。
メーカーさまのおっしゃることは、「パレットを使用すると積載率が3割下がる。」、「ドライバーが楽になるからといっても運賃は変わらないから、積載が悪くなっては...」と、こういうお話なんです。
ところがですね。モジュールから入って発注もパレット単位でやるとなったとき、実はこうなるんです。
CGCのセンターでサンプリングした例ですが、バラ積みで懸命に載せて積載率は90%ぐらい。で、従来のパレット積みというのは、ただパレットに載せているだけというのであれば、やっぱり59%という数字がでました。確かに3割悪いんです。実際。
でも、先ほどのように、モジュール、発注、最適輸送単位という進め方をしたとき、積載率は80%程度までいく。必ずしも積載が悪くはない、やりようによっては変わらないんじゃないですか、というお話をしています。
今後の物流を考え、できるだけレンタルパレットを使っていく。一貫パレチゼーションを進めていこうというのが我々の方針です。
CGCさまがスカスカ撲滅に取り組むモチベーションは?
この問題は物流だけの話ではないんですね。環境問題や物流の生産性に関して、特に物流生産性については欧米に比較して非常に低いというところから、我々のトップである堀内代表から物流に関して取り組みをしようという話がありました。これがスカスカ撲滅活動に取り組み始めた経緯です。物流部門だけではなくて、全社の課題として取り組んでいます。
貴重なお話をありがとうございました。
この記事は2024年3月14日に開催された『JPRセミナー2024』におけるインタビューをもとに再構成したものです。