株式会社シーエックスカーゴ さま

「ホワイト物流」に向けたシステム活用で生協物流の「これから」を支える

左から:株式会社シーエックスカーゴ
技術開発本部 運送事業部 部長 松本 学さま
第一事業本部 桶川流通センター 業務1課
課長 柿原 元樹さま・主任 榊原 安恵さま

日本生活協同組合連合会の子会社として、全国のコープ商品の物流を担っている株式会社シーエックスカーゴ(本社:埼玉県桶川市。以下、シーエックスカーゴ)。同社では2020年、新たに2つのシステムを導入することで物流業務の効率化を実現した。各システムの導入効果などについて、それぞれの担当者にお話を伺った。

※2021年6月掲載当時の情報をそのまま掲載しています
※記載されている会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です

生協物流をトータルにサポート

日本生活協同組合連合会(日本生協連)は、約320の生活協同組合を会員とする全国組織で、全国約2,900万人の組合員が生協を利用している。その日本生協連の子会社として1991年に設立されたシーエックスカーゴは、全国をネットワークで結び、発注から在庫保管・配送まで、生協物流をトータルでサポートしている。
物流の専門事業者として、シーエックスカーゴではホワイト物流の取り組みに力を入れている。2019年には、国土交通省・経済産業省・農林水産省が取り組む「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、自主行動宣言も提出した。持続可能な物流環境の実現に向けたその宣言の中であげられている主要な取り組み項目の1つが「パレット等の活用」だ。

パレット活用による作業負荷低減や業務効率化

シーエックスカーゴでは約10年前から、自社パレットなどに加えてJPRのレンタルパレットを導入。主として、全国各地にある同社の拠点DC(在庫保管センター)を相互に結ぶ幹線輸送時や、各エリアの会員生協への出荷時にJPRのレンタルパレットを使用している。
パレットを利用するメリットについて、桶川流通センターの入庫を担当する主任の榊原さんは次のように話す。
「従来バラ積みで入庫してきて荷受時にパレットに積んでいた配送会社様やメーカー様に対して、パレット輸送への切り替えを依頼してきました。パレットに積んで入庫することで、荷卸しに時間がかからないようになり、DCのバース(トラックの積み降ろしスペース)の回転率向上や、荷卸し待ち車両の減少、荷受時間の抑制につながります。また、出荷時にパレット輸送を行えば、ドライバーの作業負荷低減や積み降ろし時間の短縮が可能となるため、納品先様にもご協力いただきながらパレット活用を推進しています。納品先様がJPRレンタルパレットの共同回収登録店であれば、空きパレットの回収が不要で、車両がすぐに次の配送先に向かえることも大きなメリットです」

レンタルパレットや自社パレットを「epal」で一括管理

多くのメーカーなどと取引するシーエックスカーゴで使用するパレットには、JPRのレンタルパレットや自社パレットなど複数の種類のパレットが混在している。それらを管理するために、従来は主に自社開発のパレット管理システムを使用、また拠点DCの1つではJPRのWeb物流機器在庫管理システム「epal(イーパル)」を導入していた。
「パレットの利用拡大や効率化に向け、管理システムを1つにまとめて負荷軽減をはかりたいと以前から考えていました」と運送事業部部長の松本さんは話す。「『epal』は原則としてJPRのレンタルパレットの在庫管理に用いるものですが、JPRに当社の事情を相談したところ、JPR以外の種類のパレット管理にも使えるよう対応できることがわかったのです」
そこでシーエックスカーゴでは拠点DC6カ所すべてに「epal」を導入し、2020年10月から利用を開始した。「実際の運用にあたっては、パレットの種類別や納品先の条件などに応じて登録方法が異なるなど、慣れるまで煩雑さもありましたが、導入から約半年が経過してシステムへの習熟度も上がり、精度も向上しました。おかげで、パレットの在庫管理の負担は確実に低減していると感じています」

入庫の受付簿をデジタル管理

シーエックスカーゴは2020年、「epal」に加えて、JPRの子会社である株式会社TSUNAGUTE(ツナグテ)が提供する入出荷予約受付サービス「telesa-reserve(テレサリザーブ)」を導入した。桶川流通センターのDCを担当する課長の柿原さんは、「ホワイト物流に貢献するサービスとしてJPRからご提案いただき、導入を決めました。現在、拠点DC6カ所で導入し、入庫するトラックの受付管理に活用しています」と話す。
シーエックスカーゴの各拠点では、日々膨大な量の商品が入出荷される。たとえば桶川流通センターでは多い日で100台のトラックが入庫してくるが、その受付管理は従来、紙の受付簿で行っていた。ドライバーが受付簿に名前や電話番号を手書きで記入。シーエックスカーゴの担当者はその受付簿を確認しながら、待機しているドライバーに順番に電話をし、バースへ誘導するという業務の流れだった。
そうした煩雑な作業が「telesa-reserve」で大きく効率化されたと話すのは、入庫担当の榊原さんだ。「受付に設置したタブレットに車番と電話番号を入力していただいたら受付登録は完了。こちらではバースが空いたら呼び出しボタンを押すだけで、ドライバーの携帯電話にショートメッセージで自動的に連絡が行くので、とても楽になりました」
導入時にはドライバー1人ひとりに使い方を教えるなど苦労もあったが、現在ではスムーズに運用できているという。さらに、受付に1つしかない紙の受付簿と「telesa-reserve」が大きく異なるのは、入庫の進捗がオンラインで確認できること。「現場まで見に行く必要がなく、会議の途中でもPCで待機トラックの台数などがわかるため、バースを効率よく回転させる目安が立てやすくなりました。電話番号などの個人情報が他のドライバーから見えなくなったのもメリットですね」と柿原さんは評価する。

ICT導入による継続的な改善を目指す

「telesa-reserve」にはもう1つ、荷卸し時間を事前予約できる機能がある。ドライバーが事前にスマホやPCから到着時間帯を選んで予約しておけば、長時間の待機が不要になり、物流センター側でも効率的な入庫管理が実現する。現在、シーエックスカーゴではこの事前予約機能を一部拠点間のみで試験的に運用しているが、待機車両問題の解決はホワイト物流に向けての大きな前進となることから、早期に本格導入したい考えだ。
新型コロナ感染拡大による巣ごもり需要の影響もあって、2020年の商品の取扱量が宅配を中心に伸びたというシーエックスカーゴ。2021年には桶川に第2流通センターを開設し、新たに通販物流の業務も開始する予定だという。
「社会インフラとして物流の重要性が増す一方で、ホワイト物流の取り組みやCO2排出量削減といった課題への対応も急務です。ICT導入などによる改善を継続的に行い、生協物流の『これから』を支えるのが、当社の使命と考えています。JPRには、より効率的な物流の提案などで今後も協力していただければと願っています」と松本さんは今後への展望を語った。