オタフクソース株式会社 さま

レンタルパレット導入でサプライチェーンを効率化

オタフクソース株式会社
執行役員 ロジスティクス部 部長 小田 孝広さま

物流パートナーの業務が劇的に楽になった!
定番の「お好みソース」をはじめとする商品展開でお好み焼きの魅力を広く発信し続けるオタフクソース株式会社(本社 : 広島県広島市。以下、オタフクソース)。2019年にJPRのレンタルパレットを導入し、サプライチェーンの大幅な効率化を実現した。執行役員 ロジスティクス部 部長として導入時に中心的な役割を果たした小田 孝広さまに、レンタルパレット導入の経緯や効果などを伺った。

※2021年4月掲載当時の情報をそのまま掲載しています
※記載されている会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です

"お好み焼き文化"の普及拡大を目指す

オタフクソースが独特のとろみを持つお好み焼き専用ソースを発売したのは1952年。以来、ソース以外にも、お好み焼きを簡単においしく焼くための粉やトッピングがパックになった「こだわりセット」などのお好み焼き関連商品にも力を入れてきた。社員の多くが「お好み焼士」という社内資格を持ち、「お好み焼課」という専門部署も置く同社が目指すのは、本場広島から国内外に向けた"お好み焼き文化"の普及拡大だ。
今回お話を伺った小田さんも「お好み焼士(インストラクター)」の資格を持ち、ロジスティクス部 部長として、お好み焼きを愛するお客さまに商品を確実に届ける物流業務を担っている。
「従来使用していた木製の自社パレットをJPRのレンタルパレットへと全面的に切り替えたのは2019年4月。切り替えに向けた具体的な検討はその1年半くらい前から始めていました」と小田さんは振り返る。パレットの切り替えという大きな転換に踏み切った背景には、いくつかの要因があったという。

物流パートナーの負担軽減のために

大きな要因の1つは、物流パートナーの負担軽減だった。オタフクソースでは、全国6カ所の物流センター(DC)の運営と商品配送を物流パートナーに委託している。従来は自社パレットを使用していたため、工場からの出荷を滞らせないようDCから空のパレットを回収する必要があった。商品の動きの多い繁忙期ほど、回収するパレットの数量も多くなる。物流パートナーにとっては、DCからの出荷だけでも多忙な時期に、パレットの返送業務が重なることになってしまうのだ。また、DC内で空パレットの保管スペースを確保する負担もあった。
もう1つの要因は、木製パレットならではの問題。商品への木片の混入や木の臭い移りといった衛生面・品質面の懸念が年々高まっていったという。
「物流パートナーからは、食品業界で多く使われているJPRのレンタルパレットに切り替えてほしいという要望を受けていました。当社の側でも、流通の過程で紛失するパレットの数量を見越して繁忙期前に必要数を毎年購入するといった業務を削減したかった。さらに衛生面の懸念を払しょくしたいという理由もあって、JPRのプラスチック製レンタルパレット導入を決断したのです」と小田さんは語る。

サプライチェーン全体の見直しも

物流を支えるパレットの全面的な切り替えは、オタフクソースにとって極めて大きなプロジェクトになった。従来の自社パレットは1,300×1,100mmというサイズだったが、JPRのレンタルパレットは1,100×1,100mm。その変更に対応するため工場でパレタイジングを行うラインを大改造しなければならなかった。大きな投資をともなうと同時に、改修工事で工場が稼働停止する間に出荷する分の在庫を確保しておくといった準備も必要だった。
さらに、初期投資に加えランニングコストも含めたコストが自社パレット利用の場合よりも、どの程度アップし、そのコストをどう回収するかという課題もあった。この課題はパレットだけ見ていては解決できない。そこでオタフクソースが取り組んだのはサプライチェーン全体の見直しだった。
「サプライチェーンマネジメント向上のための社内プロジェクトを立ち上げ、これまで把握しきれなかった商品の適正在庫をあらためて見直したのです」と小田さん。「また、年間数百万枚のパレットを扱うための管理体制も、物流パートナーと綿密なすりあわせをしながら、再構築しました。結果的には、レンタルパレット利用コスト以上の大きなメリットにつなげることができたと考えています」

パレットの心配が一切不要に

では、実際の導入効果はどうだったのだろうか。「物流パートナーからは『業務が劇的に楽になった』と非常に喜ばれました。パレットの一時保管や返送にかかる管理業務がなくなり、大幅な負担軽減が実現したのです」と小田さんは笑顔で語る。以前は紙の伝票とエクセルで行っていたパレットの在庫管理も、JPRのWeb物流機器在庫管理システム「epal(イーパル)」の活用により効率化・明確化された。特に繁忙期にパレットが不足しないよう回収や購入の手配をする必要もなくなったため、「パレットについて一切心配をしなくて済むようになりました」と小田さんは強調する。
また、衛生面や環境面でのメリットも重要だという。木製パレットは木くず発生のリスクがあり、また使用して汚れても洗浄することができない。それに対してJPRのプラスチックのパレットは必ず洗浄して納品されるため、衛生面での安心感がある。さらに、木製パレットから耐久性に優れたプラスチック製への切り替えは、森林資源の保護やCO2削減など環境面での効果も期待できることから、企業の使命としてSDGsなどに取り組んでいく上での意義も大きいという。

新型コロナの「巣ごもり需要」にも無事対応

2020年春に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大。外出自粛にともなう「巣ごもり需要」の高まりを受けて、オタフクソースでも、お好み焼き関連の「お好みソース」や「こだわりセット」などの注文量が関東で従来の約2倍に伸び、繁忙期の状態が半年近く続いたという。
「受注見込みが読めない中、一時的に生産の追いつかない商品も出るなど対応に苦労しました」と小田さんは当時を振り返る。「物流パートナーの協力もあって輸配送の面では何とか乗り切ることができましたが、これも前年の春にJPRのレンタルパレットに切り替えていたからこそ。自社パレットを使っているままだったら、今回の需要増にはとても対応できていなかったでしょう」
レンタルパレットの導入により、想定外の需要などにも物流面で柔軟に対応可能な体制を実現したオタフクソース。今後はさらにパレット管理の工数削減などもはかりつつ、サプライチェーン全体の改善にも継続して取り組んでいきたいと、小田さんは意気込みを語った。