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物流クレート標準化協議会 様

Web物流機器在庫管理システム「epal」活用で
標準クレートの共有化を実現

※2016年11月掲載当時の情報をそのまま掲載しています
※記載されている会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です

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物流クレート標準化協議会は、スーパーマーケットへの納品、主に和日配と呼ばれる商品(豆腐・生麺・練り物・漬物など)の納品で使われているプラスチック製の物流容器・クレートの仕様を標準化した。リターナブル容器である標準クレートの共同利用を普及させることで、循環型社会の実現と物流効率の改善を目指している。クレートの標準化を推進し利用拡大をはかっている同協議会の監事である江口法生氏と副幹事であるユニー株式会社の村井秀紀氏、同社の浅井盛希氏に話を伺った。

左から:一般社団法人日本スーパーマーケット協会
理事 事務局長 江口 法生さま
ユニー株式会社 IT 物流本部 物流部
部長 浅井 盛希さま・シニアチーフマネジャー 村井 秀紀さま

標準クレートの規格を決定し、2009年から共有化スタート

物流クレート標準化協議会(以下協議会)は、日本スーパーマーケット協会、日本チェーンストア協会、新日本スーパーマーケット協会の流通3団体からなる協議会。2005年10月に設立し、食品流通業界で通い箱として使われているプラスチック容器、いわゆるクレートの標準化に取り組んできた。
2007年4月に、食品クレート標準Ⅰ型、同Ⅱ型(浅・深・ハーフ)、計4種類の標準クレートの規格を決定した。2009年4月から関西地区の4社が標準クレート共有化を開始し、同年、関東地区内で2社、中部地区ではユニー株式会社(愛三岐)も新規導入した。翌年3月には山梨県内の主要スーパー10社が標準クレートを導入し、このうちユニー株式会社は山梨県のほかに静岡県においても同時拡大導入している。その後も、首都圏、北陸地区、中国・四国地区、九州地区で標準クレートの導入が進み、2016年8月現在、29チェーン・56の物流センターで、1日あたり約18万枚のクレートが循環している。各協会の会員数からすれば、まだまだ導入企業は少ないが、標準クレートはこの7年間で徐々に広がりを見せている。

サイズがバラバラのクレートには、さまざまな問題があった

一般的に、大手メーカーでは工場での製造を効率化するために、商品を自動で段ボールに梱包する生産ラインを構築している場合が多い。クレートで納品するベンダー(メーカーや卸)においてもクレートを自前で用意するため、当然、商品のサイズから算出した最も効率の良いサイズのクレートが選ばれることになる。しかし、多数のベンダーからさまざまな商品が納入されるスーパー側では、日々、クレートや段ボールなど多様なサイズの物流容器を受け取ることになる。サイズの多様化は輸送から納品、品出し、空き容器の管理といったさまざまな場面で作業が複雑化してしまう。そうした状況を解消するために、この協議会が設立されたという。一般社団法人日本スーパーマーケット協会理事・事務局長で、物流クレート標準化協議会で監事をつとめる江口法生氏は経緯をこのように説明する。

規格を統一した4種類のクレート

「スーパーの物流センターでは、ベンダーから届くさまざまな形のクレートを、まるでパズルのようにカゴ車に積み上げていました。サイズが異なるので、配送途中にトラックの荷台でクレートが崩れる危険性があります。スーパーの店舗内でも同様です。品出しの最中も、品出し後もクレートを積み上げますが、どうしても不安定な状態になるので、倒れて人やモノにあたるという事故も発生していました。そうした問題を解消するためには、製・配・販のサプライチェーン全体で、同じサイズのクレートを使おうという話になり、2004年に、当協会の物流システム委員会内でクレートの標準化について検討を始めたのです」
協議会設立当初の参加企業は約30社。ユニー株式会社も当初から協議会に参加していた。同社は中京圏を中心に事業を展開し、現在11の物流センターを持つ。同社IT物流本部物流部シニアチーフマネジャー(前物流部長)の村井秀紀氏は、協議会に参加した当時を次のように振り返る。
「メーカー様は、自社の商品のサイズにあわせて容器を選定しますので、サイズがバラバラになるのは当たり前です。ただ、センターからクレートを返却するためには、空いたクレートを仕分けしなくてはならない。段ボールだったら廃棄しなければならない。この作業はかなり手間がかかりますが、当時は当たり前過ぎて、不便を不便とも思わずにいました。協議会ができ、クレートの標準化の話を聞いたときは、業務の効率性を高めるための手段がここにあったのかと、まさに目から鱗が落ちる思いでした。そして、是非ともクレートの標準化を推進しなければと感じました」
クレートを仕分ける作業は、種類が多い分だけ時間がかかり、また回収までは保管しておく場所も必要になる。しかし、実際には店舗のバックヤードは狭く、種類ごとにクレートを保管しておくスペースはない。必然的に種類が異なるクレートを不安定な状態で積み重ねるしかない。店舗から物流センターへ上手く回収してきたとしても、各社のクレートが混在しているので、再び仕分け作業が発生する。こうした細かな作業の一つひとつが、店舗や物流センター、さらにはドライバーの負担になっていた。

在庫管理システムを公募し、JPRの「epal」を選択

同協議会では、クレートの標準化と並行して共有化を模索した。クレートのサイズを標準化したとしても、各社が利用する標準クレートにオンネームでメーカーの名前などが入ってしまえば、店舗や物流センターでクレートを選り分ける手間は相変わらず必要になり、標準化した意味がなくなるからだ。
オンネームをしない標準クレートを共有化するには、クレートそのものを在庫管理する必要があるとの結論に至った同協議会では、その在庫管理システムにJPRのWeb物流機器在庫管理システム「epal(イーパル)」を採用した。
「標準クレートの規格を決めたのち、在庫管理システムを公募しました。応募各社を協議会でヒアリングし、議論を重ねて、最終的にJPRの『epal』導入を決定したのです。決め手は、システムの機能、コストはもちろんのこと、レンタルパレットの在庫管理システムとして活用しているという実績が大きかったです」と江口氏は言う。村井氏も、「レンタルパレットと同じような仕組みでクレートも標準化・共有化ができると具体的にイメージできたので、協議会としてJPRにお願いしました」と続ける。
実際に在庫管理システムを導入したことで、オンネームをしない標準クレートを、誰が何枚使っているのかを把握でき、共有化が実現できている。さらには、クレートに対する管理意識も向上し、紛失率の低減につながっている。

CO2削減やトラックの積載効率改善、店舗での陳列作業の負担軽減にもつながる

ユニー株式会社での、標準クレートの利用状況としては次のようになる。
同社は、標準クレートのⅡ型をレンタル会社から、日量2万3千枚レンタルし、中部地区と山梨県内の各ベンダーに貸し出している。その標準クレートに商品を積載して同社物流センターへ納入してもらい、センターから各店舗へも標準クレートで商品を運ぶ。標準クレートを利用している商品は、和日配食品のほとんどと、洋日配食品、水産、加工食品の一部である。
ユニー株式会社IT物流本部物流部部長の浅井盛希氏は標準クレートのメリットをこう説明する。
「ベンダー側は、段ボールや自社独自のクレートを購入する必要がなくなり、ほかのスーパーも標準クレートを使用していれば、さらに業務が効率化します。受け側である弊社としても、センターでも店舗でも、さまざまな作業が楽になります。またサイズが同じなので運搬中に崩れる心配も減り、ドライバーの安心安全にもつながります。標準クレートが普及すれば皆が便利になるのです」

クレートのサイズが統一されているため、手際よく品出しができる

標準クレート導入後の具体的な効果については、小売側が検証したところ、店舗でのカゴ車輸送の削減、店舗陳列作業や片付けの負担軽減、段ボール削減によるCO2削減などの環境効果、トラックの積載効率改善などさまざまな効果が示されているという。

今後の課題は所有の仕方の統一、利用企業とカテゴリーの拡大

標準クレートの仕組み自体は、上手く流れている。江口氏は、今後の展開を次のように考えている。
「次に我々がやらなければならないことは、クレートの所有の仕方の統一です。現在、標準クレートをレンタルで導入している企業と、自社所有で導入している企業があります。ベンダーを介して各所有者の在庫バランスが崩れた際の処理などの課題もありますので、レンタルで統一した方がより便利になると考えています」
レンタルでの共有化拡大のためには、管理精度の向上は欠かせない。現在、標準クレートは年に2回の棚卸しを実施しているが、直近では約3%のずれが生じている。
「管理精度の向上は、協議会でもしっかりと取り組まなければなりません。やはり個体管理が必要だとは感じていますが、課題も少なくはありません」と江口氏。
個体管理システムの導入は、技術的には難しいことではない。しかし、既に200万枚以上流通している標準クレート1枚ずつに洗浄機に耐えられて何度も使えるタグやバーコードをつけるとなると、それなりのコストと手間と時間がかかる。

クレートを重ねても安定して運ぶことができる

「管理システムが変わるということは、どうしても初期投資は必要ですし、少なからず運用も変わります。まずは、どういう管理の仕方がいいのかを協議会で議論していきたいと思います。当面は、所有の仕方を統一すること、そして、標準クレートを使用する企業様とカテゴリーの拡大が先決だと思っています」
現在、標準クレートは東北地方と北海道の小売では導入されていない。標準クレートの導入企業を全国でどう増やしていくか。また、すでに利用されている和日配食品以外のカテゴリー、たとえば、牛乳やパン、また野菜など青果などのカテゴリーで、利用を拡大できないかと模索している。
村井氏は、今後の意気込みを語る。「全チェーン、全国に標準クレートが広まると、標準クレートのレンタル料金や管理料などのコストはもっと下げられる。皆でやるしかありません。標準クレートを広めるのは、皆の役目という意思のもとに、これからも取り組んでいきます」
現在JPRでは、Web物流機器在庫管理システム「epal」を提供し、協議会の事務局も担当。協議会とともに課題解決に向けて取り組みを進めている。JPRは、今後も同協議会と協力し、標準クレートの普及をサポートしていく。

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